6−1.演劇時評「日本演劇の論点 The Issue of Japanese Theatre Community」

街が実験場?ギョッとしました(高輪ゲートウェイにて)
まずはお詫びから。
完全に1週間勘違いしておりました。
前回のレター「5-2.TECH時評 一緒に旅したいガジェット」配信が7月24日(土)……。
2週間に1通のペースなのに、3週間空いてしまいました!
どうもすみませんでした。
毎回このレターを楽しみに待っていてくださる心が広大な面積を誇り、稀に見る奇特な方におかれましては、どうか、宮澤にもお盆休みが必要だ、ということでひとつ!
どうぞ!どうぞ!ご勘弁を!!
ここで突然ですが、下記のミーティングの様子に少し耳を傾けてみましょう。
A「とにかく若い観客が減っています。というかほぼ皆無です。」
B「いやいや。若い人※は若い人、年寄りは年寄りで分かれすぎてるだけでしょ。分断ですよ、分断。いるところにはいるよ?若い人。」
A「たしかにソーシャルメディア※を見ていると、若い人の劇団が動画や舞台写真を結構積極的にアップしているし、割と多くの若い観客が感想※を書いていますね。」
B「そうそう。オレもさそういうの見ると嬉しくなってさ、一緒に盛り上がろうと思って引用リツイートとか、リプライに感想書いたらさ、ソーシャルメディアでそういう決めつけるような言い方をするのって良くないですよとかさ。とにかくネタバレ※やめてください!とか書かれてさ。軽く炎上しちゃって。びっくりしたよ。」
A「あー。ネタバレは良くないですね〜。ネタバレを極度に嫌いますよ〜いまの若い子たちは。」
B「でもじゃあ何書けばいいのよ!演劇の感想ってさ、全てが基本ネタバレでしょ?」
A「……。」
C「ちょっと話変わるけどさ、特に新劇はちょっと前から顕著だったけど、最近は商業も小劇場も含めて夜公演が少なすぎるんですよ。夜公演じゃないと観に来られませんよ、若い人は。普通に働いてたら平日昼とか絶対無理でしょ?19時開演だって無理だって聞くのに。」
B「いや!そもそももう夜、仕事が終わったあと劇場に行くというかつての観劇文化がなくなったんだよ!」
A「出たそもそも論。もっと建設的にいきましょう。じゃあ夜公演増やすには?何とかしてその若い人をどっかから連れてこなくちゃだめですよね。」
C「若い人を連れてくる?『推し※』がたくさんいるような有名人をキャスティングすればすぐに集まりますよ。そもそも消費のスタイルが変わってきてるんですよ。若い人は『面白み』が予め約束されてなければ動かないんですよ。お金よりも時間が大事というか。だから作品内容よりも誰が出るか?とか原作がベストセラー!とか。少なくともインフルエンサーが出るとか」
B「インフルエンザ?何わけの分からんこと言ってるんだよ!ちょっと前まではさ、制作がスポンサーなり広告を出稿してくれる企業なりを、何社も見つけてきたもんだよ!最近の若い制作は金の集め方を知らなすぎるんだよ!」
A「いやいやいや昔は景気がよかっただけですよね?30年間不況が続いて……」
B「世の中のせいにすんな!つべこべ言わずに足をつかって営業してこいよ!」
C「あの〜職場で急に怒鳴るのってどうなんですか?パワハラ※じゃね?」
B「なんだその態度は!」
A「……。」
突然すみません。ABC、これ全部、私です。(多重人格)
脳内でちょくちょく展開する製作部ミーティングです。(危険)
今回のレターは、表題のとおりいつもと少し趣向を変えまして、この似而非会話文のなかに出てくる言葉のなかからキーワードをいくつかピックアップし、ひとつひとつの論点として切り分けて考えたいと思います。
大袈裟ではなく、どっからどう見ても日本演劇の現在は閉塞し失速していると思います。ではその「閉塞」と「失速」は、いつ?どこの?演劇と比較しているのか?
そもそも比較する必要はあるのか?(また出た「そもそも論」)
残暑厳しい折に暑苦しい話題で恐縮ですが、しばしの間お付き合いくださいませ。
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- 「若い子」の論点
- 「ソーシャルメディア」の論点
- 「ネタバレ」もしくは「感想」の論点
- 「推し」の論点
- そして「ハラスメント」の論点
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