8-1.演劇時評「誰が劇場を守るのか?」Who will protect/save/keep/respect our theater?
ニュースレターをご購読いただいている皆様。たいへんご無沙汰をしてしまい申し訳ございません。最後に出したのはもう、一昨年の12月……
メールレターと紙との併用で私信を出そうなどと意気込んでいながら、ずっと止まったままになってしまいました。悲しいことではありますが劇場閉館がもう目の前に迫ってきております。このメールレターはその閉館までに私自身がどのように変化していくのかを記録として遺すことで後世の人々の役に立てれば……などと高邁なことを考えて始めたのですが、ぜんぜん気持がついていかないというか、あまりの心境の乱高下に都度文章にするなどという芸当は難しすぎました。
閉館の後はどうなってしまうのか……。宮澤自身ぜんぜん想像がつかない状態ですが、きっとこのメールレターも再開し発信を続けることで精神のバランスをとっていくのだろうと思っております。
だからそう、気長に次号のニュースレター「劇場の片隅から」をお待ちくださいませ。私はこのメールレターと紙版のニュースレターも全く止めるつもりはありませんよ!!
2025年3月12日付朝日新聞のオピニオン欄「私の視点」に宮澤の「投稿」記事が掲載されました。
この記事を読んで初めて劇場閉館を知った方や、まことに素っ気なく「ああ、なにか新聞に載ったみたいだね。逮捕されたのかと思ったよ」と宣う輩。
一方で、12日朝に早速この記事を切り抜いて写真を撮り「読んだよ!!」「よかったよ!!!」とメッセージをとともに送ってくれる方や偶然宮澤のことを総会の記念講演に呼んでくださっており、記事を皆に見えるところにしっかりと貼り出してくださったり。などなど……
本当に宮澤はみんなから愛されているなあとホクホクしております。
いつもどうもありがとうございます。
朝日新聞の記者さんから原稿を依頼された際は
「文字数1,000字程度で」でも最終的に記者さんの方で掲載のために推敲させて貰うことになりますので、はじめはとにかく文字数に関係なく思いの丈を書いてください!1ヶ月後くらいまでに!というご連絡だったので、よし!とカタカタカタ書き始めたらどんどん手が止まらなくなってざっと2,700字弱、依頼の翌日にお送りいたしました。
担当記者さんも思わず「マジ?」ってなったことでしょう。まことにあいすみませんでした。
私がカタカタとほとんどライターズハイになりながら書いた原稿は、頼まれもしないのに「誰が劇場を守るのか?」というタイトルまで付けており、これはこれで自分では読み応えあると思うんだよな〜と。新聞に掲載された原稿とはまた別ものとして。まあ言ってみれば「ディレクターズ・カット版」というか「完全版」というか「限定版」というような趣向で、ニュースレターの読者限定の私信として配信させて頂きます。
※そして言うまでもないことではありますが、この原稿に書かれた経費ならびに収入の金額に関しては「一般的な目安」を書いたものであり事実に基づいた正確な数字ではありません。そしてこの「具体的金額」を公開することは当該株式会社俳優座劇場の営業秘密を侵害するものでも、それを意図して「公開する」ものでもありませんので予めご留意ください。まじで。
一九五四年(昭和二九年)四月よりずっと六本木のど真ん中で運営を続けてきた俳優座劇場が、今年の四月に閉館する。新天地にて装いもあらたに、というわけでも、当地に新劇場を、というわけでもない。民間の手で守ってきた劇場がまた一つ姿を消すということだ。閉館の発表以来ずっと「一体何が起こったのか分からなかった」「信じられない」「思い出のつまった劇場がなくなるなんて寂しい」という厖大な声が寄せられ続けている。(公式Xアカウントによる閉館発表のポストは267万インプレッションを超えた)なぜこれだけ愛された劇場が、閉館しなければならないのか? 私自身、明確な答えを持っていない。おそらく「劇場最期の二〇年」を経験した私にとっては一生をかけて問い続けることになるだろう。