3-2.TECH時評「炎上!」 goes viral for negative reasons
ネットを介したコミュニケーションのなかで最も恐るべき社会現象というべき「炎上」。
その傾向と対策、そしてそもそも「いまさら聞けない炎上という現象」について今回は一緒に考えたいと思います。
「炎上」と聞いてまず最初に何を思い出すかによって生きてきた年代や時代が明らかになると常々思っております。やっぱり私は五社英雄監督の東映映画『吉原炎上』です。

名取裕子、二宮さよ子、西川峰子、そして、かたせ梨乃……
ええ。
はい。
古いですよね……。
そして色んな意味でなんだか、いきなりどうもすみません。
公開当時7歳だった私はもちろん映画館では観ていないのですが、数年後テレビで放送されていたのを偶然目にしまして、もう、衝撃というかトラウマというか一瞬にして女性の美しさや悲しさ、恐さみたいなものが一気に押し寄せる経験でした。以来ずっと現在に至るまで「炎上」という言葉を聞くとうっすら遊郭のことを思い出してしまうのですから芸術作品というのは素晴らしくまたそれ故に罪深いものだと感じます。
ネットスラング特有の性質
ネットスラング(インターネット上における俗語)。
その最たるものが「炎上」だと思うのですが、そもそもネットスラング自体、常に指し示す意味が拡張、縮小を繰り返し、揺れ動くスピードがめまぐるしい流行語の一種です。まともに付き合い始めると、ちょっと前までは正反対の意味だったのに!と驚かされることが多い。
ちょっと脇道にそれますが例えば「リア充(笑)」とか「意識高い系(笑)」という言葉も一般化される前、ネットスラングとして純度の高い段階においては『(笑)』が付いているとおり相手を揶揄する言葉でした。
リア充(笑)とは「リアルな生活が充実している(特に恋愛面でお金持ちや社会的地位の高いパートナーを持っている)連中」をやっかみ、憎しみを込めて
「全リア充(笑)は逝ってよし!」とか
「リア充(笑)!日本語でおk」(リアルな生活が充実しているからこそそんな意味不明なことをぬかすんじゃクソボケ!の意)
と使われることが多かったですし、
意識高い系(笑)も
「ちっぽけで無様な境遇を周囲に知られたくないのでやたら高学歴風の発言をしてくるヤツ」
とか
「就職活動において受かるはずもない大企業の就職セミナーばかりに参加して、ビジネス用語を中途半端に覚え、やたらとそれを周囲にひけらかし見下してくる残念な人」
というニュアンスが強かった言葉でした。
なので後年、就職活動のパンフレットや企業の新卒募集や自己啓発系書籍のキャッチコピーに「意識を高める!」とか「意識高い系の学生さんに朗報!」「就職活動はいかに高い意識を保持するかにかかっている」などと高らかに謳われた時にはおいおい冗談だろ、と思ったことを覚えております。